一日のスタート
鶴一屋の麺づくりの一日についてお話をさせていただきます。
麺づくりのスタートは朝早い
麺づくりのスタートは朝早いです。
起床時間3時50分。そこから出勤の準備をして4時半に工場に向かい為自宅を出ます。その間およそ10分程の通勤時間。この時間が季節の移り変わりを肌で感じることの出来る時間です。
少し前の暑い夏場では、この時間すでに明るく、今日も酷暑の一日になるのかとひとときの穏やかな風を感じながら速足で歩いていたものです。残暑も厳しく今年は9月に入っても真夏日を超える日が続いていましたが、10月になりわずか二週間くらいで季節が二か月くらいいっきに進んだ感があります。
秋の朝はまだ暗い
10月中旬のある日、あたりは未だ日の出前で真っ暗。夜空を見上げるとこの季節特に星がきれいに思います。必ず探すのが「オリオン座」三つの星の・・・を目で追って、次に北斗七星を確認。そして夜空の中で一番存在感を誇る“月”を探す。。。。月の表情が良くわかる澄み切った夜空を眺めると一日のスタートが活気づきます!
先日は“下弦の三日月”に遭遇、幻想的な朝でした。天候が良くても時々月が発見できない時があります。
月はどこにある、うどんはここだ
月の位置が低すぎて山や建物に隠れる等・・・とにかく朝から上を向いて歩こう、ロマンチストなのか不審者なのか、何とも楽しいスタートで麺づくりを始めております。
月はどこにいる?・・・さぁ、、、、うどんはここにあります!
仕事のスタート早朝4時45分から
生地作り(5時10分)
4時45分、麺づくりスタート。今日は細うどんの製造です。
まず、小麦粉と塩水を混ぜ合わせ作業。
その日の朝の気温、日中の最高気温、天候は晴れ・くもり・雨・雪、湿度は高い・低い等々、いろんな要素を絡ませてその日の製造の塩加減と水加減を決めます。
この決定が麺づくりのかなりの決め手となることは確かな重要な項目であります。
野球で云えば、相手チーム(その日の天候)に対しての先発投手のようなもの(笑)
ここで選択を間違えると、いろいろ苦労しなければならない作業も追加されるわけです。小麦粉に塩水を入れてこねる。単純な工程ですがここに奥深いものを感じながら40年以上同じことを行っていますが、未だにわからないことが沢山あるのがこの工程です。毎日同じような温度、湿度、天候であれば苦労することは少ないだろうに、その日の天候が様々で人間の体調も様々、ほんとうに単純なことほど難しいものです。
小麦粉と塩水のミキシングがうまくいくと、なんとも言えない“うどんの生地”が生まれます。
艶があり、弾力を感じ、色味が少しクリーム掛かった優しい色。小麦の自然な香りもあります。本当においしそう!
ここから“手打・手延べ”の工程がどんどん進んでいきます。
コーヒータイムは午前5時40分
ここでコーヒータイム(5時40分)
ここで一服。至福の時間。朝、最初に口にいれるのはコーヒーと決まています。
キリマンジャロのが好きです。少し濃いめで余韻が残る酸味の良さがくせになりますね。NHKラジオの健康ライフを聴きながら一喜一憂してます(笑)
手打ち作業 午前6時00分
手打ち作業
さぁ、作業の中で一番ハードなところ、手打作業(コネ)です。
一連の手打作業の画像を出しました。
時間にして一時間半、およそ12,000歩程の生地作り。
何層にも折りたたみ、繰り返し、強い麺体に作り上げていきます。
平たくして、それを折り返し、また平たく、また折り返し。連続技です。
根気、体力が要求される工程となります。
イタギ作業 午前8時00分
イタギ作業
コネあげた麺生地を渦巻き状に切り、それを少しづつ延ばしていきます。“手延べ作業”スタートです。
※↑平らな状態の麺体を丸くする工程(丸目)
平らな帯状の麺体を何層にも重ね合わせ、熟成を繰り返してコシの強い麺にしていきます。そのあとに丸目の工程で縄の状態に変化していきます。
巻き入れ作業 縄状の生地をさらに細く午前9時
丸まった生地をさらに細い形状にしていきます。
綱引きに使用する縄くらいの直径を少しずつ細く→綱引き縄直径→水道ホースくらいの直径程に細く変化します。
少しずつ上の写真のような巻き入れ機を使って細く延ばしていきます。
タライの中の縄状の麺生地はすべてつながっています。長い長いロープのように。
カケバ作業 午前10時
カケバ機という機械を使って丸い縄状になった生地を二本の棒に掛け合わせます。
横から見ると数字の8の文字を描くように棒に乗せていきます。
8の字なるように縄状の麺生地を2本の棒に掛けていきます。
サイドから見るとなんとなく「8」に見えます。
左から右に向かって麺を掛けていきます。この工程を「カケバ」といいます。
真横からみると8の文字になっています。
2本の棒に掛け合わせたものを熟成用のムロ(室)の中に入れていきます。
このムロの中で1時間から2時間程かけて熟成させます。
この作業が済むと、待望のランチタイム!です(笑)
コビキ作業から手延べ作業へ午後1時過ぎ
オモ(熟成用の箱)の中の手延べ前のうどんを取り出して、コビキ作業を行います。
コビキ前はこんな感じ↓
コビキ作業しました。下の画像はコビキ後、またムロ(熟成箱)にいれて再び熟成させます。
コビキ作業で少しだけ延ばした麺を再び熟成箱に入れました↑
コビキ作業の次はいよいよ手延べの名のごとく、延ばし作業となります。
コビキで少し延びた麺をここでは一気に2メートルくらい延ばします。
カケバ作業の時点では隣り合っていた2本の棒が2メートルくらい離れています。
熟成と手打ち手延べを繰り返して、生地が少しずつ細く長く延ばされて手打手延べうどんの姿になっていきました。日々変化する気温、湿度にあわせて塩分と水分を調整して白いカーテンのようなうどんに仕上げていきます。四季の気候によってその加減は変わってきます。麺職人の勘と長く培われたデータを駆使して安定した美味しい麺を作っています。
半生うどんの鶴一屋
https://www.e-udonya.com/
石川県金沢市山の上町4-17
鶴一屋は金沢でうどんを製造しています。
何層にも折りたたみ、繰り返し、強い麺体に作り上げていきます。
平たくして、それを折り返し、また平たく、また折り返し。連続技です。
根気、体力が要求される工程となります。
そしておいしいうどんができあがります。
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